任意整理と個人再生の違いと正しい債務整理手続きの選び方

任意整理と個人再生の違いと正しい債務整理手続きの選び方借金を減額して整理したいとき、基本的には「任意整理」か「個人再生」のどちらかを選ぶ必要があります。

ご自身では、どちらが適しているのか判断しにくいケースも多いでしょう。

それぞれの債務整理手続きにどういったメリットやデメリットがあるのか、適切な方法の選び方をご紹介します。

カードローンやリボ払いなどの借金にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.任意整理と個人再生の違い

任意整理と個人再生の主な違いは、以下の7点です。

  • 減額できる金額
  • 裁判所を利用するかどうか
  • 全員を対象にしなければならないか
  • 債権者の同意が必要か
  • 財産が影響するか
  • 住宅ローンを滞納しているときに家を守りやすいか
  • 費用

それぞれについて、みていきましょう。

 

1-1.減額できる金額

任意整理と個人再生の大きな違いは、借金の減額率です。

任意整理では、債権者との合意後の利息をカットできる程度なので、大幅な減額はできません。

一方、個人再生の場合、借金を元本ごと大きく減額できます。ただし100万円以下にはなりません。

たとえば500万円の借金を抱えた人がいるとしましょう。

任意整理をしても500万円はそのまま残るので、これを5年程度で返済しなければなりません。月々の返済額は83,000円にもなってしまいます。

個人再生をすれば、100万円にまで返済額を減らせる可能性があります。3年で返済するとしても、月々の支払い額は27,800円程度になります。

借金額が大きくなっていたら、任意整理より個人再生が適しているといえるでしょう。

反対に借金額が100万円やそれ以下など少額であれば、任意整理のメリットが大きくなります。

 

1-2.裁判所を利用するかどうか

任意整理は、債権者と直接交渉をして借金の返済額や返済方法を決め直す手続きです。

裁判を介する必要はなく柔軟な対応が可能で、必要書類もほとんどありません。

一方、個人再生は、裁判所に申し立てて手続きを進めます。

必要書類もたくさんありますし、各段階で裁判所や債権者との調整が必要になって手間がかかります。

なるべく労力をかけたくない方は、任意整理を選択するメリットが大きくなるでしょう。

 

1-3.債権者全員を対象にしなければならないか

任意整理と個人再生では「債権者を全員対象にしなければならないか」という点でも大きく異なります。

個人再生の場合「債権者平等の原則」がはたらくので、すべての債権者を手続きにのせなければなりません。一部の債権者を省くと、ルール違反となって借金を減額してもらいにくくなる可能性があります。

問題になりやすいのは、所有権留保つきの車のローンがあるケースです。車のローンも対象にしなければならないので、ローン会社が車を引き上げてしまう可能性があります。

任意整理の場合には、裁判外で自主的に債権者と交渉するので、自分で対象とする債権者を選べます。

車のローンがある場合、ローン会社を外せば車を回収される心配はありません。奨学金など保証人がついている借金がある場合にも、その借金を外して任意整理すれば迷惑をかけずに済むでしょう。

全員を対象にしなくてよいことは、任意整理のメリットといえます。

 

1-4.債権者の同意が必要か

任意整理と個人再生では「債権者の同意が必要かどうか」という点でも異なります。

任意整理の場合には、個別に債権者と交渉して合意しなければなりません。債権者の同意は必須といえるでしょう。

個人再生の場合「小規模個人再生」か「給与所得者等再生」かによって取扱いが異なります。

小規模個人再生

小規模個人再生とは、原則的な個人再生の手続きです。会社員だけではなく自営業者やアルバイト、パートなどの人も利用できる可能性があります。

小規模個人再生を成功させるには、裁判所で「再生計画案」を認可してもらわねばなりません。そして再生計画案を認可してもらうには「過半数の債権者が反対しないこと」が要件となっています。つまり「約半数の債権者による同意」が必要です。

このときの過半数には「人数」と「債権額」の両方が考慮されます。過半数の人数や過半数の債権額の債権者が反対したら、再生計画案は認可されません。

任意整理では「個別の債権者の合意」が必要なので、いわば100%の債権者の同意が必要といえます。これに対し小規模個人再生では「約半数の同意」で足りるので、この点では個人再生にメリットがあるといえるでしょう。

給与所得者等再生

個人再生のもう1つのパターンが給与所得者等再生。これは会社員や公務員などの「収入が極めて安定している人」が利用できる個人再生手続きです。

給与所得者等再生の場合には、再生計画案を認可してもらうために債権者の同意は要求されません。

極端にいうと、債権者が全員反対していても他の要件を満たしていたら再生計画案が認可され、借金を減額してもらえます。

多くの債権者や大口の債権者が手続きに反対しているときには、給与所得者等再生が有効といえるでしょう。

 

1-5.財産が影響するか

債務整理をするとき「財産がなくなってしまうのではないか?」と心配される方が少なくありません。

任意整理でも個人再生でも、基本的に財産が失われることはないので安心しましょう。

ただし、個人再生の場合には、車が失われるケースが稀にあります。ローン完済時まで車の所有権をローン会社にとどめる「所有権留保」をつけているときに個人再生をすると、車を引き上げられてしまいます。

また、個人再生の場合、財産額が大きい場合に減額されにくくなるデメリットがあります。個人再生では「最低限、所有している財産評価額以上の金額を払わねばならない」というルールが適用されるからです。これを「清算価値保障原則」といいます。

たとえば、500万円の借金のある人の総財産額が100万円以下であれば、借金額は100万円にまで減額されます。

一方、200万円分の財産があれば200万円にまでしか減額されません。

高額な財産を所有している人は、個人再生を利用するメリットが小さくなるといえるでしょう。

 

1-6.住宅ローンを滞納している場合に家を守りやすいか

住宅ローンの返済が厳しくなって滞納している方は、任意整理より個人再生の方が適しているケースが多数です。

個人再生で「住宅資金特別条項」を利用すると、住宅ローンつきの家を守りやすくなるためです。「住宅資金特別条項」は、わかりやすく「住宅ローン特則」ともよばれます。

住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンの返済はそのまま残して他の借金だけを大幅に減らせます。

長期間滞納しすぎて保証会社による「代位弁済」が起こってしまっても、それをなかったことにして元のように金融機関へ分割払いができます。

保証会社などから競売を申し立てられていても、競売手続きを中止して個人再生を進めることが可能です。

こういった効果は、任意整理には認められません。

個人再生を利用すると住宅ローンつきの家を守りやすいので、特に住宅ローンを滞納してしまっている場合には個人再生を検討してみてください。

 

1-7.費用

債務整理をするときには「費用」も非常に重要です。

一般的に個人再生より任意整理の方が、かかる費用の相場は低くなる傾向があります。

まず、個人再生の場合には裁判所の費用がかかりますが、任意整理の場合には裁判所を利用しないのでかかりません。

また、個人再生は手続きが複雑で専門的な分、司法書士や弁護士の費用も高額になりやすい傾向があります。

ざっくり示すと個人再生の費用相場は30~50万円、任意整理なら10~20万円でできるケースが多いでしょう。

費用面だけで比較した場合、任意整理で解決できる状況であれば、任意整理を選択するメリットが大きいといえます。

 

2.任意整理を選ぶべき人のパターン

  • 借金額が高額ではない(おおむね300万円以内)
  • 保証人のついている借金がある
  • 所有権留保付きの車のローンがある
  • 収入が安定しない、一時的に失業している
  • 高額な財産を持っている

 

 

3.個人再生を選ぶべき人のパターン

  • 住宅ローンを滞納している
  • 住宅ローン以外に高額なカードローンなどの負債がある
  • 借金額が500万円以上など、高額になっている
  • 債権者が任意整理の話し合いに応じてくれない
  • 任意整理後の支払いができなくなった

 

 

どの債務整理手続きを選ぶべきか迷った場合には、弁護士が解決方法をご提案いたします。借金問題に悩まれているなら、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

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