債務整理を依頼する専門家を探すとき「弁護士」と「司法書士」のどちらを選ぶべきか迷ってしまう方が少なくありません。
実は、弁護士と司法書士には違いがあります。
そこで、債務整理における弁護士と司法書士の違いについて解説します。
これから債務整理しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
1.弁護士と司法書士は「代理権の範囲」が異なる
債務整理における弁護士と司法書士の根本的な違いは「代理権の範囲」です。
弁護士の場合、代理権に制限がありません。本人の代理人として活動できますし、どの裁判所でも裁判代理権が認められます。取り扱える金額にも制限がありません。
司法書士の場合、代理権は限定されています。そもそも認定司法書士(国によって認定された司法書士)でない限り債務整理の代理ができません。
認定司法書士の場合であっても、任意整理の取扱金額に制限があり、簡易裁判所でしか代理権が認められず、自己破産などの手続きでは書面作成の代理権しかありません。
このように、弁護士と司法書士では代理権の範囲が根本的に異なるので、「弁護士には依頼できても司法書士には依頼できない」ケースが存在します。
2.任意整理における弁護士と司法書士の違い
任意整理は各債権者と個別に交渉をして借金の利息をカットしてもらい、元本などを3~5年程度で完済する合意をする手続きです。
任意整理の場合、弁護士と司法書士では「取り扱える金額」が異なります。
弁護士の場合、借金額がいくらであっても対応できます。1社から300万円や1000万円の借金がある場合でも問題ありません。
一方で、司法書士が対応できるのは「1社について140万円まで」のケースです。
1社から140万円を超える借金をしていると、司法書士には代理交渉を依頼できません。
たとえば、A社から50万、B社から100万、C社から150万円の借金がある場合、C社については司法書士に対応してもらえません。
C社の分は、自分で対応するか弁護士に依頼する必要があります。
負債額の大きい債権者がいる場合は、弁護士を選ぶ必要があります。
3.過払い金請求における弁護士と司法書士の違い
過払い金請求は、過去(2008年頃以前)に利息制限法を超過する利率で借金返済をしていた方が、払いすぎた利息を取り戻す手続きです。
借金を完済している場合だけでなく、返済中でも過払い金請求できる可能性があります。
ただし、過払い金請求権には時効があるため、完済後10年以内(2020年4月以降に過払い金が発生した場合には請求できることを知ってから5年以内)に請求しなければなりません。
過払い金請求するときにも、弁護士と司法書士には取扱金額による違いがあります。
弁護士の場合、取扱金額に制限はなく、いくらの過払い金であっても代理で請求や交渉ができます。
一方で、司法書士の場合、取扱金額は140万円に制限されるので、140万円を超える過払い金が発生していたら代理交渉できません。
司法書士に依頼して取引履歴を利息制限法に引き直して計算した結果、140万円を超える過払い金が発生していたら、あらためて弁護士に依頼するか自分で交渉する必要があります。
2008年頃以前に長期にわたって高額な借金をしていた場合には過払い金が高額になる可能性があるので、弁護士に依頼した方がよいケースがあります。
4.自己破産や個人再生における弁護士と司法書士の違い
自己破産や個人再生は、裁判所へ申立をして、負債を減免してもらう手続きです。
これらの手続きにおいて、弁護士には全面的な代理権が認められますが、司法書士には書類作成の代理権しか認められていませんので、一人で対応しなければならない場面が生じる可能性があります。
また、手続きを進める上で、破産管財人や個人再生委員が選任されるケースがあります。このような場合に裁判所に納めるべき費用(予納金)が、弁護士代理の場合の方が低額になる可能性があります。
弁護士費用と司法書士費用の比較だけでなく、裁判所に納めるべき費用(予納金)も考慮する必要があるのです。
5.弁護士を選んだ方が良いかも知れないケース
以上より、債務整理をするとき、以下のような事情があれば、最初から弁護士に依頼しておいた方が、手続きがスムーズに進んだり、費用が抑えられる可能性があります。
- 1社について140万円を超える借入がある(任意整理)
- 過払い金の金額が高額になりそう(取引期間が長い、借入額が高額)
- ある程度財産があり、自己破産が管財事件になりそう
- 書類作成だけではなく自己破産や個人再生で全面的にしっかりサポートしてほしい
債務整理をするとき、弁護士か司法書士か迷ったときには、実際に話を聞いてみるのが一番です。当事務所では借金問題の解決に力を入れていますので、よければ一度ご相談ください。