奨学金を払えない場合の対処方法

奨学金を利用して、卒業後に返済できなくなる方が増えています。

もしも奨学金を滞納したらどうなるのか、払えない場合にはどうしたら良いのか解説します。奨学金の返済が苦しい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.奨学金を払えない理由

奨学金を払えない理由には以下のようなものがあります。

  • 低所得
  • 延滞金額が高額過ぎる
  • 借入金の返済がある
  • 親の経済困難(本人が親をサポートしている)
  • 親の経済困難(親が奨学金を返す約束をしている)
  • 失業、無職
  • 家族の病気療養
  • 多忙で金融機関にいけない
  • 配偶者が経済的に困難
  • 本人が病気
  • 返すべきと考えていない
  • 留学中など、学生で収入がない

 

2.奨学金を払えないとどうなるのか

奨学金を払えないまま放置していると、以下のような流れで督促されます。

 

2-1.書面などで通知される

奨学金を滞納すると、日本学生支援機構から書面などで督促されます。延滞すると、翌日から「遅延損害金(延滞金)」が加算されるので、返済金額がどんどん上がってしまいます。

 

2-2.一括払いを要求される

奨学金を払わずに放置していると、一括払いを要求されます。一定期間支払を行っていると「期限の利益(分割払いできる利益)」を失い、一括払いしなければならない約定になっているからです。

 

2-3.裁判を起こされる

一括払いを要求されても放置していると、日本学生支援機構側から支払督促や訴訟などの裁判を起こされます。連帯保証人や保証人がいる場合には、連帯保証人などへも訴訟を起こされる可能性が高くなります。

 

2-4.差押をされる

最終的に判決が出ると、財産を差し押さえられます。預貯金や生命保険、株式や不動産などを差し押さえられて、不払い金を回収されてしまうのです。

連帯保証人や保証人へ裁判を起こされた場合には、(連帯)保証人名義の資産も差し押さえられる可能性があるので注意しましょう。

 

2-5.財産差押以外のリスク

奨学金を払えないで放置すると、財産差押以外にも以下のリスクが発生します。

  • 信用情報に傷が付く

まずは「個人信用情報」に延滞情報が登録される問題があります。

個人信用情報とは、個人のローンやクレジット利用履歴に関する情報。金融機関やカード会社は個人信用情報を参照して貸付やカード発行を許可するか決定するので、延滞情報が登録されていると、ローンやカードの審査に通らなくなってしまいます。

奨学金を滞納し続けると、住宅ローンやクレジットカードを一切利用できない状態になると考えましょう。

  • 連帯保証人に請求される

奨学金を利用するときには、親などの親族に連帯保証人や保証人を依頼する方が多数です。そういった状況で返済を滞納すると、日本学生支援機構側は(連帯)保証人へ一括請求します。

親の資産を差し押さえられるなど、多大な迷惑をかけてしまうでしょう。

 

3.奨学金を払えない場合の対処方法

奨学金をどうしても払えないなら、以下のように対処してみてください。

 

3-1.返還期限猶予制度を利用

まず検討したいのが「返還期限猶予制度」です。

これは、病気や経済的な困難、災害などの事情によって奨学金の返還が難しくなったとき、返済期限を延ばしてもらえる制度です。

審査に通れば最長で10年間、返済期間を延ばしてもらえます。延長された分、一時的に返済を猶予してもらえるので困ったときには日本学生支援機構へ申請しましょう。

以下のようなケースで適用できる可能性があります。

  • 病気やケガ
  • 経済的な困難(低所得)
  • 失業
  • 育児休業
  • 生活保護受給

 

3-2.減額返還制度を利用

減額返還制度とは、一定期間に限り返済額を減額してもらえる制度です。毎月の返済額を半額まで減額してもらえるので、支払が楽になるでしょう。

ただし「返済総額」は変わりません。元本が減額される制度ではないので注意しましょう。第2種の場合には返済期間中の利息も発生します。

減額返還制度を適用するには、「返済を延滞していない」ことも条件となります。奨学金の返還が厳しいと感じたら、滞納する前に早めに日本学生支援機構へ相談しましょう。

 

3-3.返還が免除される場合

ご本人が死亡したり重度の身体・精神障害ではたらけなくなったりした場合には、奨学金の返還を免除してもらえます。

 

3-4.債務整理

返還期限猶予制度や減額返還制度を用いても、どうしても返済できない方もおられるでしょう。そもそも猶予制度や減額返還制度を適用できないため審査に通らないケースもありますし、猶予には期間があるので、通常償還が再開してしまう可能性もあります。

奨学金をどうしても払えない場合には、「債務整理」によって解決しましょう。

債務整理をすれば、奨学金を元本ごと減額してもらったり、一切の支払を不要としてもらったりできます。

以下で債務整理の種類や効果について、詳しくご説明します。

  • 任意整理

任意整理は債権者と交渉をして「利息」をカットしてもらい、元本を一定期間に支払う和解をする手続きです。

日本学生支援機構は任意整理の話し合いに応じないので、奨学金に任意整理を直接適用できません。

ただし、奨学金以外の借入がある場合には有効な対処方法となります。奨学金以外のクレジットカードやカードローン、キャッシングなどの負債を任意整理すれば、月々の返済額が減って支払が楽になるでしょう。

任意整理では対象とする負債を選べるので、奨学金を外して手続きすれば親などの連帯保証人に迷惑をかける心配も要りません。

奨学金以外の借金を作ってしまった方は、まず任意整理を検討しましょう。

  • 個人再生

個人再生は、裁判所へ申立をして借金を元本ごと大きく減額してもらえる債務整理の方法です。任意整理とは違い、奨学金も対象にできます。

基本的に借入額が500万円までであれば100万円にまで減額できますし、借入額が500~1,500万円までであれば5分の1にまで減額可能です。

個人再生であれば、多くの場合、財産が失われません。住宅ローン返済中の方は、家を残して住宅ローン以外の負債のみ返済する方法も選択できます。

奨学金の返済額が数百万円以上となり、自力での返済が難しくなっているならぜひ利用しましょう。

  • 自己破産

自己破産は裁判所から「免責決定」を出してもらうことにより、負債を全額免除してもらう債務整理の方法です。奨学金も対象となります。

自己破産をしたら「奨学金を一切返済しなくてよい」ので、返済能力がないならぜひ利用しましょう。

 

4.債務整理のデメリットと注意点

債務整理をすると、以下のようなデメリットがあるので注意してください。

 

4-1.連帯保証人に迷惑をかける

個人再生や自己破産をすると、奨学金を大きく減額してもらえたり免除してもらえたりするので、ご本人の窮状は打開できるでしょう。

ただし、これらの債務整理手続きを利用すると、連帯保証人や保証人へ一括請求されます。

親や親族が保証人となっている場合、迷惑をかけざるを得ません。

保証人も支払ができないなら、保証人も一緒に債務整理せざるを得なくなるでしょう。

個人再生や自己破産をする前に、連帯保証人や保証人へ連絡を入れて、どのように対処すべきか相談しておくようお勧めします。

 

4-2.財産がなくなる可能性がある

個人再生をするときに「車のローン」があると、車が失われる可能性があります。ディーラーや信販会社の車のローンには「所有権留保」がつくためです。所有権留保とは、ローン完済まで車の所有権をローン会社にとどめることです。

この状態で個人再生をすると、ローン会社が車を引き上げてしまうため、車を手元に残せません。

また自己破産をすると、車だけではなく「生活に必要な最低限を超える財産」をすべて没収されます。債務者の財産は現金に換えられて、債権者へ配当されるためです。

現金なら99万円を超える場合、その他の財産の場合にはおおむね20万円を超えると換価対象となります。

ただし、自己破産をしても、基準を超えない財産は手元に残せるので、すべての財産がなくなるわけではありません。

債務整理をするとき、どのくらいの財産を残せるのかわからなければ弁護士へご相談ください。可能な限り財産を残す方法もご提案させていただきます。

 

5.債務整理するか迷ったら弁護士へご相談を

奨学金を返せないとき、放っておくと大きな不利益が及ぶ危険が高まります。いずれは連帯保証人にも迷惑をかけてしまうので、早めに対応しましょう。

自分で日本学生支援機構へ相談しても解決できない場合には、債務整理を検討しなければなりません。状況に応じて最適な対処方法は異なるので、まずは一度弁護士に相談してください。親に迷惑をかけたくない場合には、影響を最小限にとどめる方法もアドバイスいたします。

1人で抱え込んでいても解決にはつながりません。まずは一度、お気軽にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0839216377電話番号リンク 問い合わせバナー